ブラジルはバイアグラでエイズ拡大?
ブラジル保健省の発表によると、同国の中高年男女の間でエイズウイルス(HIV)感染が拡大していることが、23日までに分かった。同省では、男性の性的不能治療薬バイアグラの普及で、中高年の性行為が増えたのが一因と分析している。ブラジルでは、一部の町が無料配布したり、専門の強盗団が出るなど、バイアグラ熱がヒートアップ中。夢の薬に、思わぬ“副作用”が明らかになった格好だ。
ブラジル保健省は現地時間21日、今年の感染症報告書を公表。その中で、40歳以上の中高年男女の間で、HIV感染が拡大しているというデータが判明した。
報告書によると、最もHIV感染者が増えたのは50代。男性の感染者は96年には10万人当たり18・2人だったが、昨年は29・8人にまで増加した。また同年代の女性も、6人から17・3人に急増した。逆に若い世代では感染者は減少傾向にあった。
保健省の広報担当者は「バイアグラなどの性的不能治療薬が普及したことで、中高年男女が性的に活発になったことが、感染拡大の一因」と分析。特に50~60代は、若いころにエイズ感染がさほど深刻でなかったため「エイズ予防にコンドームを使う習慣がなく、感染拡大につながったようだ」と指摘した。
バイアグラは、米国の製薬会社ファイザー社が製造、販売する薬。98年に米国内で販売が始まり、日本でも99年に承認、販売された。勃起(ぼっき)不全の男性が服用すると、短時間で勃起力が回復する効果があるため、世界中の中高年男性から“夢の薬”などと呼ばれ、脚光を浴びている。
ブラジル国内でもバイアグラ人気は強く、中部のマトグロソ州ノボサントアントニオ町では今年3月、豊かな性生活を送ってもらう目的で「ハッピー・ペニス計画」と名付け、60歳以上の男性にバイアグラを無料配布する条例を制定。これまで約70人の男性らが、月4錠のバイアグラをもらっている。しかし、入手者の間で不倫が急増する問題が発生したため、申し込んだ男性の妻にのみバイアグラを渡すことに変更するなど、ドタバタも起きている。
また今年7月にはリオデジャネイロ警察が、「バイアグラ・ギャング」と呼ばれる同薬専門強盗グループに属する男を逮捕。日本でも最近、バイアグラの無許可販売業者が次々摘発。ファイザー社が8月、日本を含む約60カ国で偽造品が見つかっていると注意を呼び掛けるなど、“夢の薬”をめぐる騒動は世界各地で収まりそうもない。
